【一菜一格  百菜百味】

　料理のバリエーションが豊富で、多彩な味付けが魅力の〝四川料理″。その魅力を「一菜一格、百菜百味（一つ一つの料理にそれぞれの味わいがあり、百の料理には百の味がある）」という格言が如実に物語っています。

　「天府之国」と呼ばれる四川は、内陸部に位置しながらも肥沃な土壌があり、豊富な農作物を収穫できる地域です。湿度が高い気候に合わせ、体を温めるよう香辛料を巧みに用い、豊かな独特の特色を持つ〝四川料理″を作りあげ、中国四大料理の一つに数えられるまでになりました。

　唐辛子、胡椒、花椒、豆瓣醤等の調味料を使い、配合を微妙に変えながら、様々な味を作り出します。調理方法も多様で、「炒める、煎る、煮詰める、揚げる、燻す、漬ける、煮る」等の38種類以上の手法があります。特に、花椒（ホァジャオ）と呼ばれる山椒の一種を使うことで、「しびれる味」を引き出す「麻（マー）」と呼ばれる味と、四川特産の唐辛子を使った「辣（ラー）＝辛い」を組み合わせた「麻辣（マーラー）」という四川料理を代表する味付けが特徴的です。辛さの中にある旨みや甘さ、そして奥深さ、これこそが四川料理の魅力です。

　中国では親しみを込めて「川菜」と呼ばれる四川料理、この独特の奥深い味わいを称えて「食在中国、味在四川（食は中国にあり、味は四川にあり）」と言われています。